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数学をきずいた人々

 

数学をきずいた人々

数学をきずいた人々

 

 ユークリット、デカルトニュートン関孝和の4名について紹介している。さ・え・ら伝記ライブラリー21『数学をきずいた人々』新装版。視点がおもしろいのだが、文章が読みにくく感じた。よみにくさの原因は普段から児童向けの本を書いている著者でないこと、おもしろさの原因は数学史の専門家なので伝えたいと思っていることが明確である点ではないかと感じた。子どもに語りかけるように丁寧に書こうというまじめな姿勢があるが「そういえばみなさんは・・・(略)・・・正三角形・正方形の作図法などを知っているでしょう。そういうことはもちろん幾何のなかまにはいります。けれどもほんとうに幾何といえるためには、知っているだけでは少し足りません。」というような文章は、正直くどい気がした。「正三角形や正方形の正しい書き方だけが幾何ではありません。」くらいの方がテンポがよいのでは? だが、一方古代ギリシアの哲学の論理性が数学を理論的に進めることに役立ったこと、和算が滅びた理由など内容はとても興味深かった。せっかく新装版にするなら、文章も、実際子どもの意見をきいて直してほしかったと思う。