児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくは本を読んでいる。

 

ぼくは本を読んでいる。

ぼくは本を読んでいる。

 

 主人公の「ぼく」ことルナは5年生になったばかり。仲が良かった安田と同じクラスになれて、互いにうれしい。同じマンションで幼馴染のナナとも同級になった。転校してきたカズサ(一紗)は、あいさつで本好きだと言って、実際に本を良く読んでいるのがなんだかいい感じで仲良くなる。互いを名前で呼び合い、ルナときちんと対話するリベラルな雰囲気の両親は、ひこ・田中氏が1991年のデビュー作でも描いていたような両親の姿だが、今の方が子どもたちにはしっくりくるのだろうか? 物語は「本部屋」と呼んでいる本がたくさんある部屋で、ふとカバーがかかった古い本を見つけたルナは、それを読んでみようと思い立つところから動き出す。どうやら両親のどちらかが子ども時代に読んだ本と思われる。「小公女」「あしながおじさん」と物語を読みながら、安田とナナ、カズサと語り合う日常と、その中で両親やまわりとの関わり合いをとらえ直して少しづつ成長していく姿を描いているのだが、ここでメチャクチャ気になることがある。「小公女」「あしながおじさん」のネタバレまで含めて紹介している是非だ。こういうところで紹介されている本って読みたくなるものだが、初めて読む時にはネタバレされたくない(少なくとも私は)。だが、この本の全体的な雰囲気(字が多く、長目)は、高学年の良く読んでいる子か中学生あたりが手に取りそう。ようするにこの2冊など当然読了済の子たちが対象としたら、読書会仲間との会話のようでこれもアリかも。