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キジのかあさん

 

キジのかあさん

キジのかあさん

 

 春まっ盛りの山で火事が起きました。キジのかあさんは生まれたばかりの9羽のひなたちを連れて逃げまどいます。風はどんどん強くなり、炎が度々かあさん鳥を襲います。キジのかあさんは逃げ出しそうになるのを何度も踏みとどまりながらとうとう覚悟を決めると、ひなたちを翼の下に集めじっとうずくまりました。まる一日燃えた山火事が収まった後、真っ黒に焼けたかあさん鳥の翼の下からひなたちが1羽残らず出てきました。それからひなたちは、自分たちでえさを探して食べ、夜は朽ちていくかあさん鳥のそばで眠り、かあさんを拠り所にして成長していったのです。
韓国人である作者は東京に生まれ空襲を体験しているという。いきなり山火事に襲われるキジたちを、空襲のさなか逃げ惑う親子の姿なのだと言われてみれば大人は納得だが、この突然の災難で始まる物語から「親が子を思い、子が親を思う気持ち」を子どもが受け取るのかどうかは疑問。