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絵本は心のへその緒ー赤ちゃんに語りかけるということー

 

絵本は心のへその緒-赤ちゃんに語りかけるということ-

絵本は心のへその緒-赤ちゃんに語りかけるということ-

 

 ブックスタート活動の立ち上げからNPOブックスタート理事長を経て、会長を務める松居直氏の講演や発言をまとめたもの。すべての赤ちゃんに絵本を手渡すことを通して「声の言葉」体験、つまり書かれた文字や機械の言葉ではない愛情ある語りかけを届けるというブックスタート活動の理念を、より広くわかりやすく伝えたいという趣旨の本だと思うが、61ページというコンパクトなこの本では、「そうだ、赤ちゃんに絵本だ!」と腑に落ちるのは難しい。松居氏の母親との思い出や自身の子や孫との関わりの中にあった絵本、そこから得た喜びが大きかったという体験に裏打ちされた発言は、かえって母親のプレッシゃーを増してしまうのではないかと心配・・・。もちろん松居氏は父親で、母親だけにがんばりなさいと言っている訳ではないのですが。

松居氏が言うように「赤ちゃんの幸せは『お母さんの幸せ』にかかっている」とすれば、絵本に限らずお母さんの好きなことを通して赤ちゃんにどんどん語りかければいいのではないかと思う。ただ、絵本にはすでに言葉が書かれているので、どんなことを語りかけたらいいかわからない場合は本当にいいツールです。