児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

あぐり☆サイエンスクラブ:春

 

あぐり☆サイエンスクラブ:春 ~まさかの田んぼクラブ!?

あぐり☆サイエンスクラブ:春 ~まさかの田んぼクラブ!?

 

 小学5年の学はある日「あぐり・サイエンスクラブ員募集!5年生限定3名」というちらしを拾う。野外活動、科学体験という言葉にひかれさっそく申し込む。クラブ活動第1日日。集まったのは甘えん坊の雄成と負けず嫌い女子の奈々。期待はずれのメンバーにがっくりする学。そこへあぐり先生が現れ車で連れて行かれたのは田んぼ。そこにはもう1人の先生であるあぐりの父親に、クラブ応援隊で牛を育てる茂さんと美代さんの老夫婦、米作り農家の耕三さんがいた。3人はさっそく作業着に着替えさせられ、苗箱に種をまくコンベアー作業を教わる。毎週土曜日のクラブ活動が始まった。
稲作体験を通して友人への評価や親子関係が好転するのはありがちだが。苗に水をかける静かな雨のような音、田んぼのふかふかした泥の感触、鏡のような田んぼに空が映る光景、夜の田んぼに響くカエルの合唱、美代さんの作るゴギョウ餅や笹ちまき、焼きみそおにぎり。これら五感をふんだんに刺激される描写は農業を営む作者ならでは。5年生3名の活動ではもったいない!もっとたくさん子どもたちを登場させた方がおもしろそうです。