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エヴリディ

 

エヴリデイ (Sunnyside Books)

エヴリデイ (Sunnyside Books)

 

 毎日、目が覚めると別の人間。Aは、意識だけが存在している。自分では何もコントロールできないまま、一定の範囲にいる同じ年齢(徐々に育っている)の人間の中で1日だけ過ごす。同じ人間には二度となれない。眠らなければその人物にとどまれるか? と思ったが、苦しむだけで無理だった。自分だけが特殊だということに徐々に気付き、今では、宿主の意識から、とりあえず一日をやりくりする情報をキャッチして、無難に過ごす要領を得徳している。SNSで、自分のアカウントを作って、記録をとったり、メールができるようにしているが、結局友だちのメールを長続きさせることはできていない。会えないのだから。ところが、転機が訪れた。たまたま入った宿主ジャスティンの彼女リアノンに強く惹きつけられたのだ。ジャスティンは、彼女のことなど遊び相手にしかしていないのに。翌日も、その次の日も、リアノンに何とか会おうと、宿主を動かして近づくが、当然リアノンは、それぞれ初対面として対応する。しかも、ギリギリまで側にいたかったばっかりに、ネイサンというとてもまじめな男の子を、普段は行かないようなパーティーに、リアノンのために行かせてしまい、帰れなくなって夜中、車の中で寝て体からでた。宿主は、普通は、自分がちょっとぼぅっとしていたけれど、普通の日を送ったと思ってくれるのがふつうなのに、あまりに違う行動をしてしまったために、ネイサンは、悪魔か宇宙人に体を乗っ取られたとして大さわぎを引き起こす。そんな中、Aは、ついにリアノンに本当のことを打ち明ける。リアノンは、最初は信じてくれなかったが、徐々に理解し、Aとの絆を深めてくれた。だが、ある時はドラッグ中毒、あるときは自傷癖と自殺願望の体の中で目覚め会えない時もある。女の子の時や、不気味な肥満体の宿主の時は、リアノンはよそよそしい。そして、リアノンは、誰にも紹介できない人間との付き合いの継続が耐えがたいといいだした。一方、ネイサンも真実が知りたくて耐えがたいと。そしてネイサンの背後にいたプール牧師は、なんとAと同類で一日以上特定の人間のところにとどまる方法を教えようと持ち掛けてきた! 毎日違う自分と言う人生から抜けられるのか? 不思議な設定の中、外見と中身、周りの人間と築く関係性について考えさせてくれる。ひょっとして、Aは、私の所にも来たことがあるかもと考えたりと、読んだ後もイメージが広がっていく。