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びんの悪魔

 

びんの悪魔 (世界傑作童話シリーズ)

びんの悪魔 (世界傑作童話シリーズ)

 

 寿命を延ばす以外なんでも願いを叶えてくれる小びんを買った男。ただし、びんを売る場合は買った値段より安く売らなくてはいけない、そしてびんを売る前に持ち主が死ぬと永遠に地獄の炎で焼かれる、という条件が付く。男は小びんの力を恐ろしく感じ、ハワイ島に望みの屋敷を手に入れるとすぐに水夫仲間に売ってしまう。ところが、美しい娘と出会い結婚を決めた矢先に、恐ろしい伝染病に冒されていることがわかり、健康を取り戻すため再び小びんを買うことを決意。ようやくのことでびんの持ち主にたどり着いてみると、買値はすでに1セントまで下がっており手に入れたが最後売ることはかなわないと知る。試される夫婦の愛。男と妻は救われるのか、最後までハラハラさせる。心理的恐怖なので中学生以上に。版画の挿絵に雰囲気がある。
『宝島』で有名なスティーブンソン。日本文化を愛し浴衣を着ることもあったとか。世界初の吉田松陰伝『ヨシダ・トラジロウ』を書いたり、歌舞伎の「忠臣蔵」をイギリスの雑誌に紹介したりと訳者あとがきに解説され、大人は興味を引かれる。