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絵本 地獄

 

絵本 地獄――千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵

絵本 地獄――千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵

 

 千葉県安房三芳村(現南房総市)の延命寺所蔵の絵巻16幅をもとに構成した絵本。地獄へ落ちた1人の男が、様々な苦しみを味わう地獄を見せられた後、お地蔵様の情けでこの世に戻ってくるまでの物語。
核家族化で親族の死に接することが少なくなった現代の子どもに、死への恐れを学ばせることで、自分や他者の命を尊び守る心を持たせたいという制作側の意図が説明されている。特に、幼く亡くなった子どもが石を積んでは鬼に崩され永遠に生まれ変わることのできない「さいの河原」の場面に、そのメッセージを感じる。
読み聞かせにも使える文章。夏休みの「こわいおはなし会」で読んだところ、小学2~6年生まで男女ともにじっと聞いていました。