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盆まねき

 

 

盆まねき

盆まねき

 

なっちゃんのママの実家は笛吹山という町から離れた田舎です。毎年、お盆にはみんなで集まりますが、ひいおばあちゃんまでいる家には、いろんな親戚の人が来て、なっちゃんには誰が誰だかわからなくなるくらいです。いつも本当だかホラだかわからないことをいうおじいちゃんが話してくれた、子どものころ飼っていた賢いナメクジナメタロウの話、大好きなフミおばちゃんが子どものころに見たという月の田んぼで稲刈りをしていたウサギの話、そしておおばあちゃんが、子どものころに拾ったかっぱの不思議な玉の話。みんなは、いろいろなお話をなっちゃんにしてくれます。そして8月15日の盆踊りの夜、なっちゃんは初めて会う、だけれどどこか見たことがある男の子に出会うのですが・・・・。最後に「もうひとつの物語」として、実際に特攻隊で亡くなった叔父の物語が収められている。お盆という時期に、死を思うことができるという風習の大切さ、本来なら死ななくてよい人間が死ななければならない戦争の理不尽さが、子どもに素直に伝わる言葉で語られている。