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ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白

 

ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白

ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白

 

 ダイヤモンド利権で内戦が続いたシエラレネ共和国。多くの死者や手足を切られた犠牲者の取材にいった著者は、犯行は子ども兵士によるものであったことを知り、子ども兵士がなぜそんなことをしたかを調べるため、元子ども兵士だった子どもたちも受入れている施設を訪ねる。そこで、元兵士のムリアから話をきいた。両親を目の前で殺され、無理やり拉致されて兵士の訓練を受けさせられ、体に麻薬を入れられて殺戮行為をしてきたムリア。まわりに誰もいなくなった一瞬のチャンスをつかんで逃げ出した。彼もまた犠牲者であったことを知る。読みやすい雰囲気で、日本の同年代の子どもたちに理解してもらえるように書かれたノンフィクションだが、もう少し背景(子ども兵士の後ろで戦争をおこしている大人について)も知りたいと思った。ただ、実際に兵士とさせられた子どもたちのつらさをきちんと伝えようとする姿勢はいい。悲劇的な最後で有名になってしまった著者だが、世界の中の悲惨な事件を私たちに伝えることで平和に役立てようというジャーナリストの活動はやはり貴重なものだと思う。