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アレックと幸運のボート

 

アレックと幸運のボート

アレックと幸運のボート

 

 11歳の男の子アレックはボートが欲しくてたまらなかった。自分のボートを手に入れて、ボート・レースに出場したかったのだ。ところがチャンスがやってきた。ボートを手に入れたミス・ロングリーが、彼にボートを自由に使わせてくれることになったのだ。その日から、懸命な練習が始まる。ライバルは、なにかというとアレックに嫌がらせをするストンパーだ。ミス・ロングリーを連れてブラッグベリー島にボートで行った時には、アレックが一人だと思って、ボートを持ちだして島に閉じ込めてしまうようないじのわるいいたずらをした。だがある日、モーターボートのせいで転覆をした時に、アレックを助けてくれたのもストンパーだった。おぼれかけた恐怖で、ボートがこげなくなるアレック。彼がもう一度オールを握れるようになったのは、子ども時代に友だちが目の前でおぼれ死んだために海に近づけなくなっていた父さんが、自分自身の恐怖を克服して助けてくれたおかげだった。ボートに夢中になった男の子の懸命の思い。時にはごまかしたり、うらんだりしながらも素直にそんな自分をリセットして進んでいくアレックの素直な感じがいい。ボートレースの行方にドキドキしながら、アレックと共に成長の喜びを感じられる。