児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集

 

 物語仕立ての少し不思議な詩集です。
ある日「ぼく」のところへ「きみ」がやってきて、「ことばがなってないから本を読め」と学校の先生に言われたと話す。そこから、いい年をしたおじさんの「ぼく」と子どもの「きみ」との、詩や言葉をめぐる問答が始まっていきます。藤富保男や松居啓子などなどの詩を紹介しながら。詩って意味のわからないもの?言葉にならないものが詩、意味でなく音で聞くこと、くり返したとき初めて気づくこと・・・まるで哲学、禅問答をしながら、この2人の関係、「きみ」の両親と「ぼく」との関係も徐々に見えてきます。

十分大人になりきってしまった私は、詩を感じることを忘れていていつも使わない脳の部分が動かされたような気がしました。      (せ)