児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

子どもたちに語るヨーロッパ史

 

子どもたちに語るヨーロッパ史 (ちくま学芸文庫)

子どもたちに語るヨーロッパ史 (ちくま学芸文庫)

 

「子どもたちに語るヨーロッパ」「子どもたちに語る中世」の2編を収録。ちくま学術文庫だが、もともとフランスで子ども向きに書かれたため、内容が簡潔に整理されていてわかりやすい。前半では、ヨーロッパという意識の形成の過程、ギリシア・ローマの歴史やキリスト教の影響によるアイデンティティの確立から始まり、中世を経て国民国家の成立に向かうようす、そして国家の枠を超えたEUへの夢を語っている(原書2007刊)。ヨーロッパが民主的な国家として協力しあって発展するという理想、現在は残念ながら陰りが出ている感じです。著者も無念かも! 後半は問答形式で、暗黒の中世といわれてきた認識が現在(原書2006年刊)変化していることを説明。Q&Aなので、明確にイメージしやすい。世界史が好きな中学2年生くらいならチャレンジできるのでは? 世界史関係のまとまった児童書が少ないので、そうした意味でも貴重。