児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

春のわかれ

春のわかれ (赤羽末吉の絵本) 作者:槙 佐知子 偕成社 Amazon 村上帝の御代のこと。小一条の左大臣家に、代々伝わる見事な蒔絵の硯があった。姫君が帝へお輿入れすることになり、婚礼道具に加えられるが、入内の当日、大臣に親しくつかえる青年が誤ってそれを…

これからの男の子たちへ

これからの男の子たちへ: 「男らしさ」から自由になるためのレッスン 作者:太田 啓子 大月書店 Amazon 著者は弁護士。性差別や性暴力を社会からなくすには、男の子の育て方こそ重要と、公私の体験(見聞きしたことも含む)に基づいてわかりやすく論を展開し…

菜の子ちゃんとキツネ力士 日本全国ふしぎ案内3

菜の子ちゃんとキツネ力士 日本全国ふしぎ案内3 (福音館創作童話シリーズ) 作者:富安 陽子 株式会社 福音館書店 Amazon 4月、授業中の菜の子ちゃんとリカコのもとに、まだ幼虫のはずのオオムラサキが飛んできて、2人は丹波山のキツネの婚礼に招かれます。…

えほんのせかい こどものせかい

えほんのせかい こどものせかい (文春文庫) 作者:享子, 松岡 文藝春秋 Amazon 「幼いうちに本の楽しみを知ること」、それには「まわりにいるおとなが本を読んでやること」。 50年の間、子どものためにいいと松岡享子さんが考え、やってきたこと。50年たって…

えんどうまめばあさんとそらまめじいさんのいそがしい毎日

えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日 (日本傑作絵本シリーズ) 作者:降矢 なな 福音館書店 Amazon 小さな家になかよく暮らす、えんどうまめばあさんとそらまめじいさん。働き者の2人には、ひとつだけ困ったことがありました。やりたい…

台所のマリアさま

台所のマリアさま (評論社の児童図書館・文学の部屋) 作者:ルーマー・ゴッデン 評論社 Amazon 自分の中に閉じこもるグレゴリーは、ウクライナ人のお手伝いのマルタにだけは、すぐに心を許した。故国を離れイギリスへ来て22年、友人にも家族にも会わず、マル…

図書館だいすき

図書館だいすき―メキシコ (かたつむり文庫) 蝸牛社 Amazon 1人の男の子が、図書館に出かけます。図書館は本の町。算数どおりに理科の川、百科事典のひろばで物知りに。歴史の馬にまたがって時を旅する。お話どおりのおばけは、ちょっとこわい。いろんな仲間…

リディアのガーデニング

リディアのガーデニング 作者:サラ スチュワート アスラン書房 Amazon 大恐慌の頃のアメリカ。両親に仕事が見つかるまで、リディアはおじさんの元へ預けられることになりました。たった1人汽車に乗って大きな駅に着くと、迎えに来たジムおじさんはしかめっ…

18枚のポートレイト 柏葉幸子小品集

18枚のポートレイト: 柏葉幸子小品集 作者:柏葉幸子 理論社 Amazon ごくごく小品18篇を収めた短篇集。東日本大震災を意識した3篇(「風待ち岬」「お地蔵さま、海へ行く」「海から来た子」)や、遠野の民話の雰囲気がある「仁王小路の鬼」「桃の花が咲く」の…

図書館のための簡単な本の修理

図書館のための簡単な本の修理 少年写真新聞社 Amazon 文庫のお客さんから「修理したい絵本があるのですが・・・」と聞かれました。子どもがとても気に入っているのに、もう買えないもの、とのこと。本書の最大の特長は、「身近な道具で」「簡単に」修理でき…

絵本の記憶、子どもの気持ち

絵本の記憶、子どもの気持ち (福音館の単行本) 作者:山口 雅子 株式会社 福音館書店 Amazon 「子どもはどうして絵本が好きなの?」「子どもにはどんな絵本がいいの?」という疑問に、大学生がレポートに綴った幼い頃の思い出と、著者が家庭文庫で見てきた子…

あさですよ よるですよ

あさですよ よるですよ (幼児絵本シリーズ) 作者:かこ さとし 株式会社 福音館書店 Amazon えんどう豆の家族の1日です。 朝は、みんなでうちのお手伝いをしてから朝ごはん。それから子どもたちは、にこにこ園へ出かけます。園には、いろいろな豆の子どもた…

小さな手 ホラー短編集4

小さな手 ホラー短編集4 (岩波少年文庫 627) 作者:佐竹 美保 岩波書店 Amazon ホラー小説好きという英米人。19、20世紀の作品を8編おさめる。 コウヴィル作「首を脇に抱えて」は、王の前で戦争反対を述べて処刑された若者が、たくさんの死者とともに兵士た…

妖精ディックのたたかい

妖精ディックのたたかい 作者:キャサリン・M・ブリッグズ 岩波書店 Amazon 中世のイギリス。コッツウォルド地方の小さな村の屋敷に、家つき妖精ディックは何百年も暮らしている。そのウィドフォード屋敷に新しい住人が引っ越してきた。ウィディスン氏と若い…

家をまもる(たくさんのふしぎ2022年4月号)

家をまもる(たくさんのふしぎ2022年4月号) 作者:小松義夫 福音館書店 Amazon 家に守られている私たちの暮らし。その家を守るため、世界の人々がしてきた工夫を写真で紹介する。日本と同じく「地震の巣」とよばれるインドネシアのニアス島。木造で藁ぶきのよ…

ちいさなとりよ

ちいさなとりよ (岩波の子どもの本) 作者:マーガレット・ワイズ ブラウン 岩波書店 Amazon 子どもたちが、野原で死んでいる小鳥を見つけて、森の中にお墓をつくることにします。穴をほって、しだの葉を敷き、ぶどうの葉で包んだ小鳥をねかせました。野の花を…

バサラ山スケッチ通信 世界の鳥の巣をもとめて

世界の鳥の巣をもとめて―バサラ山スケッチ通信 作者:鈴木 まもる 小峰書店 Amazon 『ぼくの鳥の巣探検』から、さらに人との出会いがつながり広がってゆく探訪記。アメリカにある鳥の巣と卵の研究所、東南アジアの熱帯雨林、アフリカの森と砂漠。世界の鳥の巣…

バサラ山スケッチ通信 ぼくの鳥の巣探検

バサラ山スケッチ通信 ぼくの鳥の巣探検 作者:鈴木 まもる 小峰書店 Amazon バサラ山に暮らす著者は、ある日、からっぽの鳥の巣を見つけ、その機能的で美しい造形に魅せられます。誰に教わるでもなく、道具を使うでもなく作られるその不思議。鳥の巣あつめに…

荒野にヒバリをさがして

荒野にヒバリをさがして (児童書) 作者:アンソニー・マゴ―ワン 徳間書店 Amazon 2020年カーネギー賞受賞作。復活祭の休暇で退屈していたニッキーとケニーは、父さんの勧めで郊外のハイキングに出かけることにした。兄のケリーは特別支援学級に通っているので…

雑草のくらし

雑草のくらし (福音館の科学シリーズ) 作者:甲斐 信枝 株式会社 福音館書店 Amazon たくましい生命力といえば雑草の世界。人の手が入らなくなった畑あとにくり広げられる激しい生存競争を、5年間追った。 季節ごと、年ごとに主役の座は変わってゆく。1番最…

春の妖精たち

春の妖精たち (たくさんのふしぎ傑作集) 作者:奥山 多恵子 株式会社 福音館書店 Amazon 「春のはかない命」という意味のスプリング・エフェメラルと呼ばれる、植物があります。フクジュソウやカタクリ、アズマイチゲなど、まだ雪の残る林の地面に顔をのぞか…

さくら村は大さわぎ

さくら村は大さわぎ 作者:朽木 祥 小学館 Amazon わたしはハナ、3年生です。わたしの住むさくら村では子どもが生まれるとさくらの木を植えるので、大きなものから小さなものまでさくらの木がいっぱいです。 春、お兄ちゃんが自転車の前かごに置いておいたヘ…

カイウスはばかだ

カイウスはばかだ (岩波少年文庫) 作者:ヘンリー・ウィンターフェルト 岩波書店 Amazon 古代ローマが舞台だが、現代にもいそうな少年たちのありがちないざこざが、大きな事件へ展開するスリルと謎解きがおもしろい。貴族の子息たちが通うクサントス学校。7…