児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

リキシャガール

リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

  • 作者: ミタリパーキンス,ジェイミーホーガン,Mitali Perkins,Jamie Hogan,永瀬比奈
  • 出版社/メーカー: 鈴木出版
  • 発売日: 2009/10
  • メディア: ハードカバー
  • クリック: 10回
  • この商品を含むブログ (5件) を見る

バングラディッシュに住む、リキシャという、お客をのせて走る自転車で生計をたてている一家の物語。主人公ナイマは、街一番のアルポナ画家だが、女の子であるがために、家族のためにお金を稼ぐため働くことが許されない。それどころか、学校に行くこと、幼馴染の男の子と口を聞くことも止められ、このごろでは、女の子に生まれたことが悔やまれることばかり。そんなある日、父親の大事な仕事道具のリキシャを壊してしまったナイマ。貧しい家庭にさらに修理費用という負担がかかり、ナイマはなんとか自分にお金を稼ぐ方法は無いか…と考え、そして実行するのだった。それは、自分の得意な絵を書く能力をいかすこと。雇い入れてもらうため、リキシャの修理工のところに向かうと、なんとそこには女性の店主が働いてて、ナイマの腕を試すため、リキシャのパネルの色ぬりを依頼した。


女性の社会的立場の低い国が存在し、お金を稼ぐことは大変なことなのだと、とてもシンプルに描かれわかりやすい。後半、マイクロファイナンスや女性銀行など、少々フェミニズム的な説明口調な文体が登場し、前半のナイマたちを取り巻く美しく静かな生活の描写とは違和感を感じる部分もあったが、ナイマという、少女の未来に希望を感じさせる物語なので、読後感が清々しい。