児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ウリンボー

ウリンボー (とぴか)

ウリンボー (とぴか)

ひどい。

概要

イノシシの親子は楽しく暮らしていたところ、フクシマ原発事故が起きる。そこへフクシマの神様がやってきて、イノシシたちが汚染物質を食べれば、イノシシのおなかのなかで分解される、自分たちを人間が食べることもないから安全、というわけで、放射性物質を分解する役を犠牲的精神で引き受けるのでした。めでたしめでたし。

感想と評価

フクシマに希望をもたらしたいという一点は理解するが、そのために、かくも荒唐無稽で、無責任で、はっきり言って嘘っぱちな希望は、必要ないどころか有害であろう。イノシシが食べようが、神様が守ってくれようが、フクシマの放射性物質が消えることはないのであり、その点こそが、まさに放射性物質の放射性物質であるゆえんである。よもや子どもがコレを読んで、本当にイノシシのおなかで放射能が消えるのだ、と信じてしまうことはないと思いたいが、大人がそんなことは百も承知でこんな嘘っぱちを垂れ流していいわけはない。イノシシならば放射能をいくら摂取してもいい、などという人間だけの理屈も、許されないだろう。

私たちは買いません。