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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼっこ

ぼっこ (偕成社ワンダーランド)

ぼっこ (偕成社ワンダーランド)

富安陽子たつみや章、岡田淳などは、安定した人気のある日本の児童文学の作家たち。やはり、身近な世界を読んでみたいのだろう。

おばあちゃんが亡くなった後、その田舎の家に引っ越すことになった小学校5年の繁だが、少人数の田舎のクラスで浮いてしまいなじめない。そんな繁のまえに「ぼっこ」と名乗る男の子が現れ「お前を守ってやる」という。ぼっこに連れられて行った、もう一つの不思議な山の世界。繁は徐々にクラスになじんでいくが、おとうさんの仕事の中で、村は再開発に向かう。家とともに消えてしまうと心配する繁に、ぼっこは「お前の中にいる」と告げる。さいごの開発による激変は高度成長時代のようだが、出版は1998年。こうした開発よりも、最近は一度開発された土地の過疎化? 現在の子どもはどう感じるだろう。