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魔法の泉への道

 

魔法の泉への道

魔法の泉への道

 

 

ごく普通に幸せに暮らしていた男の子サルヴァは、スーダン内戦で、突然学校を襲ってきた兵士から逃げる。同じ部族の人間を探しやっとおじさんと出会うが、そのおじさんも途中で命を落とす。やっとたどりついた難民キャンプにも展望は見えない。だが、懸命に英語を覚えようと努力し、幸運にも難民受け入れ(ロスト・ボーイズ)リストに入ることでアメリカに渡り、教育を受けることができる。

一方、アフリカの少女ナーヤは、毎日水汲みだけで一日が終わる。やっと汲み上げた水は濁り、妹は病気になった。そんなナーヤの村に、井戸を掘る、という人がやってくる。二つの物語が交互に進み、最後に一つに合う。

できすぎ!? と思うが、ほとんどサルヴァの実体験をベースにしており、井戸を掘るプロジェクトHPへのアクセス案内がある。サルヴァが対立する二つの部族双方のために井戸を掘る姿、また、とてもできないと思うことを、目の前に見える目標を定めて進むことを教えてくれたおじさんの姿が説得力がある。