児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

怪物はささやく

 

怪物はささやく

怪物はささやく

 

 

13歳のコナーのかあさんは入院中。日に日に弱っていく。コナーは、ついに気の合わないおばあちゃんの家に連れていかれた。学校では、みんなが腫れ物にさわるようにコナーを見ない。唯一からんでくる陰険なハリーが、ある意味救いだ。そのコナーのもとにイチイの木が物語をしにやってくる。そして3つの物語を語り終えたとき、コナーに物語を求める。
母が大切だからこそ、耐え切れず、いっそ決着をつけたい思いにかられ、その自分を激しく責める。そんなギリギリの苦しさを正面から見据え圧巻! 本当につらい時の、人間のぐちゃぐちゃな思いを、書いた稀有な作品。あまっちょろい闘病ものが消しとびます。

ちなみに作者はダウドの遺作メモをネスが仕上げる形で完成した共作。ダウドさんには、長生きして、もっと書いてほしかったです。