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家なき娘

 

家なき娘〈上〉 (偕成社文庫)

家なき娘〈上〉 (偕成社文庫)

 

 

 

家なき娘〈下〉 (偕成社文庫)

家なき娘〈下〉 (偕成社文庫)

 

 

(上巻)意に染まぬ結婚をしたために勘当された父。フランス人の父とインド人の母の間に生まれたペリーヌは、父母亡き後、自分と母を憎む祖父を、たった一人の肉親としてたよっていく。だが、道は厳しく、飢えに苦しむ。たどりついた祖父の工場でも、一介の女工として懸命に働きはじめる。

(下巻)英語とフランス語を話せることから、祖父の近くで働く機会を得たペリーヌ。捨てられた缶詰からスプーンやお鍋を作ったり、葦で靴を編んだりと、さまざまな工夫で生活を向上させてきたペリーヌの態度は、祖父を強く惹きつける。さらに、工場の労働者のつらい暮らしに気付かせ、祖父は保育所や住宅の改善にとりかかる。そして、調査の末、ペリーヌが本当の孫であることを知った祖父は、ペリーヌを心から迎える。ドラマチックな筋立て、ペリーヌのさまざまな工夫など、子どもの心を惹きつける要素が豊富な物語。多少古めかしい点もないとはいえないが、小公女などが好きな子にはおすすめ。