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からすが池の魔女

 

からすが池の魔女

からすが池の魔女

 

 西インド諸島のバルバドロス島で、ぜいたくで自由に育ったキッドは、祖父を亡くし、唯一の肉親である叔母を頼って植民地時代のアメリカに渡った。だが、清教徒と結婚した叔母は、厳しい倫理に縛られた貧しい暮らしをしている。いとことなったマーシイは、忍耐強く優しいが、足が悪く、万事につけて控えめだ。一方、その妹ジュディスは、華やかなことが大好きで正反対。それまで奴隷にかしずかれてかれて暮らしていたキッドにとって、家事はもちろん、糸紡ぎや畑仕事をする暮らしは過酷で、思ったことをすぐ口に出す自由奔放さゆえに、次々にトラブルに巻き込まれる。これ以上耐えられない、と飛び出した草原で、キッドは「魔女」として恐れられていた老女ハンナと出会う。彼女は、クエーカー教徒であるために迫害され続けてきた包容力ある女性だった。ハンナを陰で支えていたのは、キッドが乗った船の船長の息子ナット。そして同じ船で母から虐待されていた女の子プルーデンスと3人は、ひそかにハンナを通した絆で結ばれ、キッドはプルーデンスに字を教えてあげる。美しいキッドは、資産家ウィリアムに求婚され、ジュディスは牧師のジョンを花婿候補として目をつける。だが姉のマーシイも、密かにジョンを愛していた。そんな中、イギリスの勅許状をめぐる政治の争いが勃発。そして熱病が流行し、ハンナは魔女として捕えられそうになった。必死で、ハンナをナットのもとに逃がすが、今度は、キッド自身が魔女裁判にかけられるはめに陥った。次々に起こるドラマの変化を貫くキッドの真っ正直で激しい気性の魅力が、一気に読ませる。

実は、今回展示用に紹介文を書くために再読したが、やっぱり面白かった。そして、テーマは、LOVEね~としみじみ思ったのでした。