児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

きみにもあるいじめをとめる力

 

きみにもある いじめをとめる力

きみにもある いじめをとめる力

  • 作者: フィリス・カウフマングッドスタイン,エリザベスバーディック,Phyllis Kaufman Goodstein,Elizabeth Verdick,上田勢子
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: 単行本
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いじめをいかに自分たちで理解し、やめさせるかをクイズなど盛り込みながら分析して行く。絵もたくさんあるので、説教くささ、押し付けがましい感じは薄くなるので読みやすい。
いじめの構造を、いじめる本人、いじめにいち早く気づきはやし立てる人、無関心、いじめられる人、など立ち位置を細かく分けて説明して行くのは、客観的な視点が持てるため良い部分であるし、また、いじめをやめさせる声を上げる勇気を推奨する一方で、自分の立場が危なくないか見極めて行動せよなどと、冷静なアドバイスがのっていて、非常に今時のいじめ対応に向いている。
しかし、如何せんアメリカの翻訳本。教育の基本が日本と違い、子供達が主張することに慣れていること、個性を大切にする文化であることから出発した本書は、同じことを日本の子供達ができるかな?また、支える大人達はどうなのかな?と思うと、一抹の不安がある。(なんと言っても、日本の場合、個より組織重視ですから…)
そう考えると、荻上チキ氏がかいたいじめ関連の本の方が実用的かもしれないけれど、客観的にいじめを見てみるという点ではちょうど良い本です。