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ジュリエッタ荘の幽霊

 

ジュリエッタ荘の幽霊 (文学の森)

ジュリエッタ荘の幽霊 (文学の森)

  • 作者: ビアトリーチェ・ソリナスドンギ,エマヌエーラブッソラーティ,Beatrice Solinas Donghi,Emanuela Bussolati,長野徹
  • 出版社/メーカー: 小峰書店
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本
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第二次世界大戦下のイタリア。空襲を逃れ、母の田舎に疎開したリッツ。おとうさんは捕虜となり帰ってこない。幽霊のうわさのある村はずれの屋敷で、白い少女を見たことから、リッツの暮らしはかわり始める。その屋敷のルイーザさんは、急にリッツの家庭教師をすると言い出し、母にも後押しされて謎の屋敷に通いはじめる。だれもいないはずの部屋で聞こえた笑い声。実は、ルイーザさんはユダヤ人の少女を匿っていたのだった。山の中で抵抗を続けるパルチザン。人間嫌いで一人暮らしをする母さんのいとこグスティンおじさん。そしてドイツ軍がやってくる! 地味な作品だが、戦争の中で倫理を守ろうとする人々の善意がよくかけている。村一番の金持ちでドイツ軍への内通を疑っていた人さえパルチザンを匿っていたことを知るなど戦後のさりげないエピソードが良い。