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秘密のスィーツ

 

秘密のスイーツ

秘密のスイーツ

 

 デブとからかわれたのがきっかけで不登校になった理佐は、離婚した母が実家に帰ると同時に転校する。だが、やはり行く気力がない。ケンカした母の携帯を、石灯籠に隠してイジワルしたのがきっかけで、その電話を通して昭和19年の過去を生きる雪子と友達になる。過去とつながっている小さな穴に、お菓子をプレゼントした時の喜びの大きさに驚く理佐。雪子に今の学校の様子を写メで送るために学校に行き始める。たくさんのお菓子を送るため、自分で作り始め友達もできるが、町が空襲を受けた過去を知り、なんとか伝えようと焦るが、雪子は「日本は負けない」と反発し、ケンカ別れとなってしまう。主人公の最初のイヤな子ぶりが、さすが林真理子。現代で雪子と再会できないのが、戦後ブラジルに移民したせいというのも納得させられる。ちゃんと児童文学を意識して書いてある。