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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

きっと君に届くと信じて

 

きっと きみに 届くと信じて

きっと きみに 届くと信じて

最終章は、君に届け…ときたら、10代は惹きつけられてしまうなもなぁーあの漫画とおんなじタイトルだもなぁーなんて思いながら読みました。
新しい生活、部活、恋、そしていじめ、家庭の複雑な問題とまぁこれ以上ない若者の全てがてんこ盛りでした。
中学生の主人公海は、親の離婚のせいで転校し、友だちがいない小学生時代を過ごしていた。中学になって新しく晴香という友達ができ、ひとりぼっちだった自分から解放されつかの間幸せな学校生活を過ごす。しかし、想像していたよりも晴香に生活を縛られていき、晴香の考える友情のあり方に応えられなかった海は、やがていじめのターゲットになっていく。
 
いじめられる海は、読者にとって一つの共感の対象にならなければならないわけだから、仕方がないことだろうが、海の存在があまりに出来過ぎ。美人で才能があり、我慢強く、彼女をひたすら守ってくれる信者的な同級生男子がいたりする。え?これ、普通ならこの海みたいな子はいじめの対象にはならないよなーと思えてしまうほどだ。むしろ、晴香のほうがいじめられそうな要素満載だし(しかしながら、持ち前の情報収集力などで賢く動いているというのは説得力ある設定)リアリティはまったく感じられない。
まぁ、少女漫画的な物語構成になっていて、面白いし、ラストには以外な真犯人も現れたりでエンタメ感はたっぷり。みんな最後はいい人になってしまう御都合主義な感じも薄気味悪い気もするが、こういうの多分みんな好きですよね?
でもなぁー、登場人物たちの本質何も変わってないんじゃないのかな?と思うのだが、どうなんでしょ。