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いたずら妖怪サッシ

いたずら妖怪 サッシ 〜密林の大冒険

いたずら妖怪 サッシ 〜密林の大冒険

南米の子供達の絶対的な人気者といえば、このサッシペレレだ。黒人の片足の妖怪で、いたずらばかりするがどこか憎めないところがある。そんなサッシが物語になったと知り、正直驚いた。日本では絶対に受け入れられないだろうなぁーと何処かで思っていたので…。私の住んでいたスリナムでは、片足の孤児たちがスケボーにのって物乞いをする場面はある意味日常だったが、日本では特殊だろうし、サッシの描写障がい者の差別表現云々につながるのかなぁーと考えてしまったのだ。とはいえ、この物語では、そういった描写はわりとサラッと済ませ、森の妖精というキャラに徹底させているため、ファンタジーとして読みての思考が切り替えられるので、心配の必要はなさそうだ。

物語は、主人公の少年が、おばあちゃんの家に遊びにいき、遊んでいるうちに森で迷子になる。そこで、サッシと出会い、森の掟を教えてもらいながら仲良くなり、森の悪い魔物をやっつけるという、なんてことはない話だが、個人的な思い入れのせいで懐かしく読んでしまった。
文体自体は、荒削りでたまに『 ?』となる箇所もあるが、ブラジルの児童文学というだけでも新鮮に思われるのではないだろうか。