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母さんがこわれた夏

 

母さんがこわれた夏

母さんがこわれた夏

 

 ゾフィーは4つ子の長女。4つ子といっても性格はそれぞれで、末っ子のフレデリーケは、言葉の順序がよく混乱する。お父さんは、タクシー運転手だが、ラテン語の格言をいうのが好きで、おはなし上手。おかあさんは物静かで、家事のかたわら英語の家庭教師をしている。ギムナジウムや実業学校へと4人が別れる前の夏休み、家族はフィンランドに住む叔母の友人の家で過ごす。だが、豊かな自然の中でも、母さんのようすがどこかおかしい。うつ病になる母を見つめて不安となる子どもの物語だが、実際にこういう立場になった子は、もっと切実につらいのではないか? ちょっとソフトに書いてあるように感じる。だが、いちおう退院する母。友人になりたいと感じていたアリスの微妙な態度の理由など、よく書けているといえる。