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伝説のエンドーくん

 

 

伝説のエンドーくん

伝説のエンドーくん

 
偏差値が良くて、校風も穏やかで、生徒たちも比較的聞き分けが良い緑山中学校には、伝説のエンドーくんの名前をかいた落書きがいたるとこにあった。エンドーくんとは、都市伝説的なものか、なにかの暗号か、不確かなままではあるが、心惹かれるものも多く、決まってそういう人は、教師も生徒も、それぞれに迷いや悩みや、不安を抱えている…。
 
教師だって人間だし、生徒だったこともあるのに、何で生徒が理解できなくなってしまうのか。そして、いつから消耗しきって、教えるという意義を忘れてしまうのか。
最初に読んでいて、んー、なんか教師視点の章だてが多いから、もしかしたら10代の子達が読んでも退屈かもしれないなぁー…なんて思ってしまったが、先生たちの個性が見えて来ると、それなりに共感もできそうだし、なんといってもエンドーくんの正体が見えてくる辺りでは、面白く感じた。
 
学生時代運動時代まで遡る、エンドーくん伝説だが、安保や学生運動が予備知識ないと、ちょっと唐突に感じるだろう。
児玉先生の、あの、いかにもザコキャラに見せかけーのの実は…っていう展開は、何となくわかってしまうけど、ラストはやっぱり『清爽』感を感じてしまう。