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夏葉と宇宙へ三週間(21世紀空想科学小説)

 

 小学校6年の加納新が主人公。学校の夏の臨海キャンプで、海で遊んでいるとき、突然宇宙船がやってきた。宇宙船に吸い込まれそうになった夏葉を助けようとして、新も宇宙船に吸い込まれる。「生きた人間をのせないと宇宙をとべない」という規則にしばられた宇宙船のコンピュータの依頼で、二人は宇宙船に母星まで乗っていくことにする。美人で勝気だが、実は両親の離婚やイジメで傷ついている夏葉と、気が弱いけど優しい新の間は徐々にいい感じになっていきます。宇宙船にもともと乗っていた乗務員ダリーが見つけた古代の秘宝。人間を幸福にせよ、という命令で動き続ける機械デェアゴーンの活動など、設定は、わりとSFとしてきちんとしている。だが、ラストは宇宙に残るか、地球に戻るかをオープンエンディングにしなくてもよかったのでは?