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川の少年

 

川の少年 (ハリネズミの本箱)

川の少年 (ハリネズミの本箱)

 

 大好きなおじいちゃんが倒れた。入院が必要だというのに、頑固なおじいちゃんは勝手に病院から退院してしまう。おまけに予定していた休暇旅行に行くと言い張るのだ。そこは、おじいちゃんのふるさと。だが、15歳のとき火事で両親と家を失ってから、一度も足を向けなかった場所だった。人里離れ、川だけが流れるその場所で、おじいちゃんは1枚の絵を描き始める。いつも題をつけないのに「川の少年」というタイトルをつけて。だが、絵の中にあるのは川だけ、少年なんてどこにもいない。しかも、描いている途中でおじいちゃんの力は、もはや絵筆を持てないほど弱ってしまった。その川で、ジェスは一人の少年と出会う。泳ぎには自信があるジェスよりも、さらにみごとに泳ぐ少年。ジェスは、少年に、源から海に向かって川を泳いで下る旅へと誘われる。火のように激しいおじいちゃんと、それをやさしく受け止める忍耐強いパパ。そして、現実的にテキパキと事を進める現実的なママ。おじいちゃんの最後の旅の行方は? そして、未完成の絵に秘められたものは? はるかな海に向かって、今ジェスの挑戦が始まる。 カーネギー賞受賞作。家族の間の人間像と心の交流がよくかけている。