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虫のいどころ人のいどころ

 

虫のいどころ 人のいどころ

虫のいどころ 人のいどころ

 

 夫の転勤で地方に来たよりさんは、小学校3年を頭に4児の母。茶髪にピアスでちゃらちゃらしている母親だが、地元のすーさまたちは、いろいろ面倒見てくれる。まわりは虫が多く、虫の名前を知りたがったために虫好きと思われ、いろいろな虫を持ち込まれ、その飼育に右往左往する。というだけならおもしろいのだが、妙にファンタジーを持ち込み、子どものころに遊んでいた“小さい者たち”が出てくる。これが虫と関係しているのかしていないのか2回読んでもよくわからない。地元の人に虫のきいて名前をきいて「ただのけむし」と答えられて憤慨して自分で調べているが、子どもじゃあるまいし、自分で調べるのが当然ではないのか? 有害なアメリカシロヒトリを駆除しているのを見て、残酷に感じたり、駆除したすーさんたちが体調不良になっているのに同情していないが、自分家の庭に大発生されたらどうするんだろう? 駆除しないならどうしたいんだろう? などと首をかしげた。都会育ちのおじょうさまママが、バイタリティある地方の肝っ玉母ちゃんたちをデリカシーがないわ、と見ているような視点が気になる。せめて対等に認めあえばいいのに。これを読んで喜ぶのはだれ? 中高生とは思えない。また、主婦のせいか、夫から虫のための「お小遣い」とかもらっているのもびっくりした。自由になるお金がないんだろうか? また、自分のお金からは、虫のために出費する気にならなかったんだろうか? あちらこちらでつまづきました。