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お母さん取扱説明書

 

 

お母さん取扱説明書

お母さん取扱説明書

 
組み立てるおもちゃ『バイオ・トイ』の新商品『お母さん』が、ヒョンスの家にやってきた。これで、雨の日は学校まで傘を持ってきてくれるし、美味しいご飯を作ってくれるし、ぎゅっと抱きしめてくれるはず!お母さんのいないヒョンスは、ずっといなかったお母さんがようやく自分の家に来てくれることで喜びでいっぱい。
しかし、このお母さんは、あくまで家事全般を引き受けるだけのロボットで、ヒョンスが求めるお母さんとは少々機能が違うのだった。
しかし、ヒョンスの努力によってお母さんに心が芽生え、人間のお母さんのようにヒョンスを愛してくれるようになったが、しかし、その心は本来搭載されていないため不良品扱いとなり、回収されてしまうことに…。
 
代理お母さんというコンセプトからすでに悲しい予感がしたが、ラストは強引ながらなんとかハッピーエンド。しかし、人間の身勝手で組み立てられ、不良品と化して廃棄されるおもちゃ達のことを思うと、後味の悪さは残る。業田良家の空気人形みたいに、本来心を持たぬものが、持ったら…という設定は、物悲しいものだ。