児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

なんかヘンだを手紙で伝える

 

なんかヘンだを手紙で伝える (小学生のための文章レッスン)

なんかヘンだを手紙で伝える (小学生のための文章レッスン)

小学5年生の佳奈は、親友のあやかが、クラスの男子にからかわれてから不登校になってしまい、クラス全員で手紙を書くということに決まったことが、なんだかモヤモヤして違うのではないか?と思った。しかし、だからと言って代案があるわけでもなく、せっかく決まったことを蒸し返す勇気もなく困っていたところ、カナダ人のサミュエルのお悩み相談所を見つけ、悩みを打ち明ける。サミュエルは、自分も同じようなことがあった話を佳奈にすると、佳奈のへんだと思っていることを手紙にして、クラスに出してみてはどうかと提案する。
 
メールなどがあるいま、なぜ手紙なのかと思われるかもしれないが、やはり手紙にはその人の気持ちが宿りやすく温度が伝わりやすい。サミュエルは、手紙を書き慣れていない佳奈を通して、読みての私たちに、相手の心に訴えかける書き方、アプローチのしかた、またやってはダメなことなどを指摘してくる。あまりに巧みすぎて、ここまで小器用過ぎるとあざとくないか⁇と思ってしまうが、相手の気持ちを尖らせずに、向かわせたいほうに向かわせていくテクニックは、手紙だけでなくメールでも通用する。顔の見えない相手に対する配慮、想像力について書いてあり、ちょっと勉強になった。