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都会のトム&ソーヤ 4

 

都会のトム&ソーヤ(4) 四重奏     YA! ENTERTAINMENT

都会のトム&ソーヤ(4) 四重奏 YA! ENTERTAINMENT

 

 ふう、だんだん疲れてきたぞ。

概要

お話しは大きくは二つ。

大脱走 THE GREAT ESCAPE

クラスメートの製作した映画を、締め切りまでにコンクールに出品するため、内人と創也はマラソン大会を途中脱走する。創也のプランと、内人のサバイバル術を駆使して映画の出品は間に合わせるが、創也は足をくじいて、脱落する。

深窓の令嬢の真相

ゲームの開発資金を稼ぐため、堀越ディレクターの製作するテレビ番組に出演する二人。

幽霊屋敷を探検するドキュメンタリーのはずだが、撮影中にのんだお茶に睡眠薬が入っており、内人と創也以外のスタッフは眠らされてしまう。近くのビルで、プランナのからんだ個人情報強奪事件が発生したが、犯人はこの幽霊屋敷からトンネルを掘っていたのだ。犯人は脱出のため、スタッフ一同を眠らせ、ロケバスを強奪しようとしていたのだが、結局、創也のボディガード卓也に阻まれる。

幕間に、本筋とはあまり関係ない小ネタが挟まれる。

 

感想

作者も言っているとおり、キャラクターの関係性が明らかに変化していっている。名探偵のスーパー中学生創也と、ワトソン役の普通の中学生内人、だったはずの二人だが、内人くんの、サバイバル術はどう考えても普通の中学生ではなくなっていき、同時に創也も、頭脳明晰だが、夢中になると周りの見えなくなる猪突猛進型の度合いが高くなってきた。製作しているゲームも、家族との関係も含め、案外普通の中学生かも。

本巻でも、事件を解決するのは創也ではなく、内人。

筆の向くまま行き当たりばったりにキャラクターの性格が変わり、きっとおはなしも変わっていくのだろう。そのゆるさが、息の長さとつながっているのかもしれない。