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顔をなくした少年

 

顔をなくした少年

顔をなくした少年

 

 友達だったスコットが悪仲間とつきあいだしてからデービットはのけもの。魔女のうわさのあるおばあさんから杖を盗む計画に無理やり加えてもらうが、彼だけがおばあさんの呪いを受けてしまう。スコットからも見放されるが、さえない転校生ラリーと、男勝りのモーという友達ができた。そしてあこがれのトーリに告白する前に呪いを解こうと、おばあさんのもとに走る。出された条件は杖を取り返すこと。 不良のロジャーと対決するが、始めた後でケンカのやり方を知らないことに気がついた! 両親に愛されて育ったナイーブな男の子が、罪悪感の中で自分で自分に呪いをかけているという謎解きは納得。だが、デービットちょっといい子すぎかな? 訳文が柔らかいのもそんな印象を持った理由かも。また、後半「面目をなくす」という日本の考え方をラリーが述べるが、明らかに「顔をなくす」と共通性がある。もう少しそこをクリアにすべき。デービットが有名人になるというエピローグは蛇足。「君だってだいじょうぶだよ」のエールなら許せるけど。