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アーデン城の宝物

 

アーデン城の宝物

アーデン城の宝物

 

 エルフリダとエドレットの姉弟はおばさんと住んでいます。お母さんはもういなくて、お父さんは、おばさんの婚約者のジムおじさんと行った南米で死んでしまったのです。一族の老人の死により、急にエドレットはアーデン城を相続することになります。しかし、領地は失われ、お城の一部でそこそこに暮らすのが精いっぱいです。ところが、アーデン城には失われた宝の言い伝えがあり、当主が10歳になるときに紋章の白いモグラのモルディワープに願うと、願いがかなうというのです。はたして白いモグラはあらわれ、二人を過去の世界に送り込んでくれます。ないはずの屋根裏部屋で、導かれるように着替えをすると、その衣装の時代にタイムトラベルするという設定は、なかなか説得力がある。けんかをしているとモルディワープが出てきてくれない、という設定が教訓くさくならないのは、二人がついついけんかをしちゃうから!? つい、得意になって歴史の知識をひけらかしてトラブルに巻き込まれたり、逆にそれを生かして危機を脱出したり、なぞのいとこリチャードと友情を育んだりと、なかなか魅力的。最後、宝は見つからないけれど、お父さんが死んでいなかったことを突き止め救出するのもいい。謎を残して続編に続きます。