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フェリックスとゼルダその後

 

フェリックスとゼルダ その後

フェリックスとゼルダ その後

 

 列車から脱出し、森に入った二人は、そこでナチスが大勢のユダヤ人の子どもを虐殺した後を見てショックを受ける。逃げようとするが、食べ物がいる。偶然出会った老人は、荷馬車に血まみれのユダヤ人の男の子を乗せ、ユダヤ人をつかまえたらもらえる報奨金のビラを持っていた。再度逃れた二人は、ゲニアという女性に救われる。髪の毛を脱色し、ユダヤ人であることを隠すが、自分の両親がナチであることを恥じるゼルダは、だからこそナチに反抗的な態度をとり、フェリックスをハラハラさせる。そんなおり、知り合った脱走ユダヤ人の男の子ダヴ。両親と、両親が経営していた孤児院の子どもたちすべてを殺されたダヴは、隙あらばナチを殺すことだけを考えていた。一方、一冊の本がきっかけで、ナチの中でも、できるだけユダヤ人をかばおうとする若い兵アモンと出会い助けられる。だが、フェリックスへの誕生日プレゼントを買いに行き、ダヴをかくまっていた老人かばったために、二人とも殺されてしまった。絶望したフェリックスは、ダヴと共に、できるだけ多くのナチを道連れにした自爆テロを図ろうとした。だが、直前にアモンからゼルダからの最後のプレゼントを託された。とっさに、アモンを非難させるが、ダヴは自爆。10歳のフィリップは6歳で死んだゼルダのために生きようと決意する。こんな憎しみと虐殺の歴史を人間がしたのか、というのが恐ろしい。