第１回ポプラ社小説大賞受賞作。小学校６年のグッチは、なりゆきで同級生浮石さんを中学生から助けた。その時見知らぬおじさんがくれたデジカメに似た機械。それには３分２６秒だけ、できごとを消す力があった。当初はちいさな事件を“消して”いたが、兄をひきこもりにし、クラスのリーダーだったハルを車イスにしたある“事件”を消したいと思いつめる。だが、消すための3分２６秒はどこか？ そして、小さな変化から引き起こされるさまざまな波紋。おどおどしたコタケや目立とうとする種村など脇役もそこそこ書けている。タイムパラドックスもので、ラストは、こうなるだろうと読めるが、余韻は残したかな？
