捨吉は、村のはずれに捨てられ、権平じいたちに育てられている。村を守る彼らに依存しながら、村に入ることも禁ずるような村人たちの態度を受け流しているが、ある日捨吉を自分たちの元から広い世界に出そうとする。だが、捨てられたように感じた捨吉は途中で逃げ、石屋に拾われる。そこで先に弟子入りしていた寛次郎は、実は不思議な因縁があった。石屋の修行のようす、寛次郎と捨吉のライバル関係の在り方など面白いが、石の神との関係が、なんとなく漠然としている。親方が捨吉に目をかける理由もわかるようなわからないようなところが残る。もう少し詰めればおもしろそうなのに・・・と、不完全燃焼感が残る。