児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ギヴァー 記憶を注ぐ者

 

ギヴァー 記憶を注ぐ者

ギヴァー 記憶を注ぐ者

 

 訳者を変えて再刊。穏やかななコミュニティーで暮らすジョナスは、12歳を前に期待と不安を感じていた。12歳になれば自分の将来が決まる。みんなふさわしい仕事が与えられ、専門の訓練がはじまるのだ。そのころから、ジョナスは奇妙なものが見えるようになる。自分が見ているものが何かわからないのだが、“違って”見えるのだ。そしてジョナスは、コミュニティにたった1人しかいない記憶の器(レシーヴァー)に選ばれる。コミュニティを安定させるため、記憶と感情を抱えるレシーヴァー。先代のレシーヴァーは、ジョナスに対し、ギヴァーとなり彼が見たものが“色”であることを教えてくれた。喜びとともに、戦争の悲惨さなど激しい感情を知り、徐々にコミュニティの人々と距離を感じるようになるジョナス。そんな時、養育係の父がケアするために連れ帰った赤ん坊ゲイブとの間に感情の交流がうまれるが、ゲイブは、不適応として解放されることになる。“解放”とは、殺されることであることを知ったジョナスはゲイブと共にコミュニティを脱出する。飢えながらさまよう二人の未来は?で、ラストとなる。

違和感が“色”であったことを知るところなど、なかなかドキドキさせられる。旧刊を読んだとき、絶対これで終わりじゃないはず! と思ったが、続編ともども刊行されてなにより。