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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

テムズ川は見ていた

 

テムズ川は見ていた

テムズ川は見ていた

 

 煙突掃除の男の子バーナクルは、たまたま煙突から落ちた家で、陰謀を聞き、手近にあった金のロケットを持ち逃げしてしまう。しかし、そのロケットこそは、大金の取引きの印となる重要なものだった。親方から逃げ、船で暮すゴズリングに拾われる彼を、職務に忠実なクリーカー警部は、着々と追い詰めていく。徐々に心を通わせていくゴズリングとバーナクル。隣人(船?)のマクディパー夫人親娘。事態はスパイ小説のように展開する。事件に翻弄されながら筋を通そうとするゴズリングとクリーカー警部の姿に、立場は逆ながらまっすぐに生きようとする人間の姿が書かれている。どうなるのか、とハラハラして落ち着くべきところに落ち着いたのはちょっと甘いかも知れないが、読者を満足させてくれる。