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スガンさんのやぎ

スガンさんのやぎ (世界のおはなし絵本(18))

スガンさんのやぎ (世界のおはなし絵本(18))



この本を読んで衝撃だったという子が、二つ質問を出してきました。

「あなただったら山へ行くか」

「ラストシーンは山羊はどうなったと思うか」

 

私の答えは、

「山へは行きたいと思う」「でも、実際に行けるかどうか。妻子もあって住宅ローンもあったりすると、そう簡単には行けないのかも。でも、行きたいことは確か。」

「山羊は死んだと思う」彼女が帰ってからまたよく考えてみた。「山羊は死んだと思うけれど、きっと他の誰かが山羊の遺志を継いでくれただろう。つまり、個体としては死んだかも知れないけれど、心は死ななかった」

こう考えるのは、やはりこの話は「パリ・コミューン」が下敷きだったのだろうと想像するからです。ドーデはまさにパリ・コミューンの同時代人。

労働者たちは、コミューンが敗北するだろうと言うことは分かっていたけれど、やはり立ち上がらないわけにはいかなかった。そして、パリ・コミューンは世にもまれな悲惨な最期を遂げたのだった。

労働者は山羊、資本家はオオカミ。

まあ、こんなことは単なるこじつけに過ぎませんが、しかし、色々論争的な物語であることは確かです。