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獣の奏者Ⅳ 完結編

 

獣の奏者 (4)完結編

獣の奏者 (4)完結編

 

 敵軍の攻撃に対し、王獣を飛ばすことを決意したエリン。闘蛇乗りを志願したイアル。息子のジェシは王獣使いにあこがれるが、エリンは、その甘さに強い不安を覚える。隣国の闘蛇軍に立ち向かったとき、伝説の災いの正体がついに明かされる。

闘蛇の大量死から始まった物語は、繁殖した闘蛇が強い毒性を持つという流れは説得力を持つが、細かいところで矛盾も感じる。ジェシに厳しく言いながら、エリンがリランに無防備のように近づいてる気がする。また、音無しの笛で、王獣は止まるが、闘蛇は止まらないはず。王獣の攻撃が止んだために落ち着いたなら、死ぬか?など考える。とはいえ、闘蛇同士が互いを避けて噛み合わないなどの描写や、アルがなぜ発情しないかなどの説得性は抜群。世界を創るセンスは抜群です。