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真夜中の電話

 

真夜中の電話 (児童書)

真夜中の電話 (児童書)

 

 うんざりする海辺の休暇。だが、気づいたとき、その自分が死んでいたら、という『浜辺にて』。信心深い、つまんない女の子だと思っていたのが、思春期で美しくなったのを目の当たりにして一挙に恋に落ちるが、彼女の信仰心からケンカになる。だが、吹雪の危機にあたり、なんとか彼女を救おうと行動する『吹雪の夜』、やってくる死者と根気よく対応する『墓守の夜』、バイクで死んだ一人息子を思うような『最後の遠乗り』など、主人公の思いが、ありきたりではなく胸に迫る形で描かれている。簡単に答えが出ない問いを、ともにみつめようとする視点が、ヤングアダルトの共感を誘うだろう。