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宇宙戦争

 

宇宙戦争 (偕成社文庫)

宇宙戦争 (偕成社文庫)

 

 主人公が一般人という書評を読み、そうだっけ?と見直したところ、確かになんと哲学者。突然の謎の隕石。問答無用の襲撃。自分たちが、劣り、無力であることの自覚。狂気にかられる同行者の副牧師や、地下に潜んで反撃すると構想する兵士など、世紀末の虚無が漂う。人間にはなすすべもなく、地球の病原菌への免疫がなくてラッキーに死んでくれたというラストは、やっぱりすごい。微妙に、今の科学水準がらすれば変な部分はあるが、基本はみごと。SF古典としてのパワー恐るべし。