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恋愛なんかやめておけ

 

恋愛なんかやめておけ (朝日文庫)

恋愛なんかやめておけ (朝日文庫)

 

 

 

恋愛なんかやめておけ (ちくま少年図書館 1)

恋愛なんかやめておけ (ちくま少年図書館 1)

 

 「恋愛」は素敵だとみんな言うのに、「性」はきたないもののように言われる。でも、この二つのことは切り離せない。一体どう考えればいいのだろう? そんな率直なメッセージで、恋愛と性の問題にきりこんでいる。儒教によって女性が差別されていたため不平等な中では、恋愛は成立しないこと、理想をもって恋愛に臨んだはずなのに、実生活に耐えられずに自殺した透谷の例などを見ていると、明治というのが男女が普通に交流していないために過剰反応になった様子も感じるなど一つ一つの検証家庭がとても理性的で面白く理性的な、松田道夫さんの名著。だが事例が現代の中高生にとっては「泡鳴?、透谷?植村正久???」となじみがない名前になっていて、ややギャップを感じそう。また、結論は恋愛は性に結びつき、性的な関係を結ぶのは女性にとっては不利でリスクが高いから「恋愛なんかやめておけ」という結論も、もっともらしいけど違和感が残る。この本全体が、どちらかというと女性に向かって書かれてる感があるからではないか? 男の子の性衝動の強さをさんざん書いているが、この結論の中で、男の子にそれをどうコントロールしながら女の子と向かい合うかの提言もちょっと漠然。「今は、恋愛より、勉強やスポーツに情熱を燃やして!」というベタな言い方と、ほとんど変わらなくなってしまっているといえるかもしれない。今、こういう本が書かれるとしたら、たぶん、正しい避妊の仕方や、避妊さえすれば何をしてもいい?、どういう問題、風俗のことがはいるかな。難しいですね。