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ボクシング・デイ

 

ボクシング・デイ

ボクシング・デイ

 

 小学校4年の栞は、「き」と「ち」を区別して発音できなず、「ことばの教室」に通っていた。担当の佐山先生は、特別支援学級の担当で、いつでも受け止めてくれる安心感のある先生だった。校庭には大きなセコイアの木があり、卒業制作のスイミーのタイルパネルも大好きだった。内気だが、まじめな栞は、繊細な千晶くん、いつも空想が暴走気味な敦志くんなど、級友たちと穏やかな日を送っている。スイミーの言葉が聞きたいと思い、セコイアに話しかける。思春期前の素直でひたむきな子どもたちを大人がしっかりと守る理想郷のようであり、同時になんでもない日常が描かれる。対象は中学生くらいか、大人になってからの回想形式で描かれている。ボクシングディとは、12月26日のみんながプレゼントをもらう日の意味。いろいろなものを受け取って成長する自覚を繊細に描けたのは、執筆当時作者が20代だったことも良い意味で反映しているかも。