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戦場のオレンジ

 

戦場のオレンジ

戦場のオレンジ

 

 アイーシャは、戦場になったベイルートで暮らしている。ある日、爆撃でかあさんの姿を見失って、おばあちゃんと弟二人と一緒に、たくさんの人と一緒に暮らしている。新しい友人のサマルは耳が聞こえずにくちがきけないけど、あっという間に仲良くなった。だけど、ある日、おばあちゃんが倒れてしまう。おばあちゃんになんかあったらどうしたらいいんだろう! いつも飲んでいた薬がどうしてもいる。だけど病院は戦場の境目、グリーン・ラインの向こうだ。アイーシャは、戦場を抜けて病院に向かう決意をする。戦場のこちらにも、向こうにも親切な人はいる。ただの女の子でしかないアイーシャには、なぜ戦っているかわからない。だけどおばあちゃんに死んでほしくない。そして死にたくない。今も、こうした戦場が日常である子どもたちがいるという現実はたまらない。