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岸辺のヤーピ

 

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

 

 マッドガイド・ウォーターの近くの学校で教師をしている「わたし」は、この三角湖でボートを浮かべるのが好きだ。ある日、偶然カイツブリの古い巣のところで小さなネズミに似た生き物ヤービと出会い、交流が始まる。基本的には『床下の小人たち』や『誰も知らない小さな国』系の話だが、交流より、ヤーピ自身の生活の話がメイン。ヤービの住む世界を繊細に描いているが、ちょっとイメージ先行の気がする。たとえばヤービの食料設定はあるけど、お鍋などはどう調達しているのかなどが、なんとなくわからない。一族がどのくらいいるのかのイメージも。ムーミン風にヤービ族で完結してもよかったかも。梨木さんの久々の児童書だったので、期待が大きかっただけに、もうちょっとなにかが欲しい気がする。明らかに続編が書かれそうなので、そこで世界が徐々に見えてくるならいいのだけど。