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ヴァイオレットがぼくに残してくれたもの

 

ヴァイオレットがぼくに残してくれたもの (SUPER!YA)

ヴァイオレットがぼくに残してくれたもの (SUPER!YA)

 

 まもなく16歳になるルーカスは、偶然入ったタクシー会社で、忘れ物だというヴァイオレットの骨壷を救い出す。ルーカスの父親は行方不明。姉貴はマイペースで遊び歩き、母親もうつ病気味だ。父方のおじいいちゃんもボケはじめた。父さんが失踪した後に生まれた弟ジェッドはかわいいが、そろそろ幼児期を卒業する。いない父を神聖化したルーカスだが、ヴァイオレットが父と知り合いだったことを知り、バイオレットの正体を探る中で、父が弱い人間だったこと、母がかつて美しい少女だったことを知り、父の幽霊から卒業する。『フラワー・ベイビー』と同じテーマだが、イギリスでこのテーマは問題なのか? 文体は軽やかでよみやすいが、ちょっと偶然要素が強い気もする。